2002.12.9

2002年12月9日

内閣総理大臣 小泉 純一郎 様
厚生労働大臣 坂口 力 様

フォーラム平和・人権・環境
原水爆禁止日本国民会議
議  長 岩松 繁俊
事務局長 福山 真劫

大阪高裁の「在外被爆者への援護法適用訴訟」判決についての要請

 12月5日、大阪高等裁判所で、日本軍に徴用され広島で被爆した韓国人の郭貴勲さんが、日本滞在中に取得した被爆者健康手帳を、帰国を理由に失効させられ、健康管理手当などの支給を打ち切られたのは違法として、国と大阪府に対して支給の継続などを求めた訴訟の判決で、大阪地裁判決に続き、大阪高裁でも郭さんを受給資格のある被爆者と認める判決をおこないました。
 被爆者はどこにいても被爆者であるという」あまりにも当たり前な事実を認定した上で、どこにいても健康管理手当ての受給を認めたことは画期的である。いままで日本を離れると「手帳は効力を有しないものとなると推定される」など、あいまいな根拠のまま手続きのみを厳格に規定し、実施してきたことに対して司法が「NO」の判断を下し、いままでの被爆者援護行政の転換を求めたものである。
 1995年に、原爆医療法と原爆特別措置法の旧原爆二法を引き継いで、現行の「被爆者援護法」が施行されましたが、同法では、「国家補償」が明記されず、内容も不十分なままでした。とりわけ、在外被爆者に対する補償問題がこれまで未解決な課題として残されてきました。
 今回の判決において、在外被爆者に対しても援護法の適用を認めたことは、法の下の平等を定めた「憲法14条」や、居住地と受給資格者との関係を定めていない「被爆者援護法」に照らしても当然の判決であり、「援護法が国内居住者にのみ適用される」としてきた旧厚生省公衆衛生局長通達(1974年)を明確に否定する当然の判決です。また、この判決は、国が行った「在外被爆者検討会」の結論にも再考を迫るものです。
 私たちは政府に対し、被爆者の高齢化が進む中、一刻も早い援護を講ずるため、この判決を厳粛に受け止めて、即刻確定させ最高裁に上告しないことなど、下記の通り強く要請します。

  1. 政府は、今回の判決を真摯かつ誠実に受け入れ、上告しないこと。
  2. 政府は、福岡高裁の李康寧裁判、広島地裁の森田隆裁判、長崎地裁の広瀬方人裁判、大阪地裁李在錫裁判などの控訴や裁判を直ちに取り下げ、在外被爆者に対して、被爆者援護法を完全に適用すること。
  3. 高齢化した在外被爆者に対して、速やかに援護と補償が行われるよう、手帳や手当の申請について、各国の日本領事館でも手続ができるようにするなどの便宜を図ること。

以上