原発
2007.7.19

断層上の柏崎刈羽原発・「想定外」の事故続く

7月16日の中越沖地震により、火災や放射能を含んだ水の海への排出、ヨウ素など放射性物質の放出など重大な事態の続いている柏崎刈羽原発。事業者や原子力を推進する国の省庁に都合の良い「想定」の基に建てられた原発の信頼性は、現実の地震の前に崩れ去りました。

地震のゆれは、加速度で想定値の2.5倍を記録。さらに事故情報の公開の遅れも隠蔽体質の変わっていない事を示しています。(右の航空写真はgoogleによる。移動、拡大などが可能)

参考

関連報道


原発の耐震指針の抜本的な見直しと全原発の総点検を求める

7月16日午前10時13分ごろM6.8の中越沖地震が起き、震源に近い柏崎を中心に広い範囲で大きな被害が出ました。被害に遭われた方々には心からお見舞いを申し上げます。

さて、この地震により稼働中の柏崎刈羽原発 2号炉、3号炉、4号炉、7号炉の4基が緊急停止した。幸いにも大事故に至らなかったことは、まさに不幸中の幸いであった。その中で柏崎市が出した緊急使用停止命令は当然である。また、今回の事故で、原発の安全性に関わる様々な問題が発生した。

まず、今回の地震は、原発の耐震設計基準である「限界地震」の設計値273ガルの2倍を超える680ガルの揺れを示したことは、いかにこれまでの地震想定が甘いもので合ったかを如実に示すものである。今回の地震は東西30q、深さ25qの断層が動いたという。さらに気象庁の解析では、原発直下までその断層が続いていることが明らかになった。そして、原発建設時はこの断層は検討されず、直下に活断層がないこと(柏崎刈羽原発1号機の設置許可裁判の東京高裁判決)を大前提に進められてきた。あらためて耐震指針の抜本的見直しと原発周辺の断層調査と評価の精査をやり直すべきである。

次に、3号機のタービン建屋の外にある変圧器からの出火では、消火活動が進まず、鎮火まで約2時間も要したことは、地震と消火に対する対策があまりにもお粗末だったことを示したものである。東電は原発敷地内の火災に対しては、自主的に消火することを前提としていたが、消火配管の損傷や消火用水の水圧低下、消火作業員の不足など地震に対する消火体制の不備が露呈した。このことは他の原発でも起こりうることであり、全ての原発施設に対する抜本的見直しが要求される。

 さらに変圧器の火災は、外部電源喪失事故という事故につながる非常に危険な事態であった。非常用ディーゼル発電機に最後の望みが託されるが、地震により起動しない場合には、炉心燃料は、冷却に失敗し、溶融して高濃度の放射能が環境に放出され、場合によっては爆発につながることもあり得るほど、危険性を持った火災事故であった。

 そのうえ今回の地震による放射能の放出も大きな問題である。放射能を含んだ水が放水口から海に放出され、放射性ヨウ素やコバルトなども検出された。地震によって漏れ出たことは、たとえ微量であっても本来あってはならないことである。この種の放射能が漏れだしたことは、プールや原子炉本体、燃料棒などに何らかの亀裂やトラブルがあることが考えられ、早急に徹底した原因究明と対策そしてその情報の公開を求めるものである。放射能漏れ自体が生じたことは、明らかに原発の安全性を損なう事態であり、安全想定の甘さと対策の不備である。

 7月18日の時点での点検で53件ものトラブルが報告されている。どれも原発の安全性を考える上で重要な問題を含んでいる。低レベル放射性廃棄物のドラム缶100本以上が転倒し、うち数本が蓋が開いた。貯蔵庫の床から放射性物質の検出、ダクトのずれや液体廃棄物処理系制御電源喪失などトラブルが報告されている。今後、調査が進めばますますこのトラブル件数が増えることが予想される。正確かつ迅速な情報公開を求めるものである。

 05年の宮城県沖地震での東北電力女川原発、今年の能登半島地震による北陸電力志賀原発、そして今回の中越沖地震、わずか2年ほどの間に3回もそれぞれの原発での設計用限界地震を上回った地震が発生している。全国の原発の耐震性の総点検と安全対策が急がれる。さらに原子力安全委員会は06年9月に耐震設計審査指針を28年ぶりに改定したが、さらに抜本的に見直されるべきである。東電に対しては、原因と対策の徹底究明と活断層上にある原発の停止・廃炉を強く求めるものである。

2007年7月19日

原水爆禁止日本国民会議
議長 市川定夫