原発
2006.9.24

日本原子力発電(株) 社長 市田 行則 殿

東海発電所・東海第二発電所 所長 青柳 雅夫 殿

プルサーマルの導入に反対する申入書

 茨城県民はもとより、国民全体を震撼せしめたJCO臨界事故から、7年が経とうとしている。事故を起こした沈殿槽は解体・撤去され、被爆した数多くの住民たちは、健康に対する不安を抱えつづけて暮らしている。被曝した住民がJCOに対して起こした裁判も継続中であり、危険と隣り合わせのなかで強行されている日本での原子力利用に対する人々の怒りや疑念は、いささかも減じてはいない。

 世界に目を転じれば、史上最悪の原子力事故であるチェルノブイリ事故から、ちょうど20年が経った。ヨーロッパ全体が高濃度の放射能によって汚染されたばかりか、放射能は日本にも飛来して農産物などからも検出された。被曝した住民や兵士たちの健康問題や生活の困窮などは深刻さを増しているし、農地や農産物の放射能汚染はなおも継続中である。チェルノブイリ事故は、世界の人々が原子力災害の恐ろしさと原子力利用の愚かさを肌で感じ取り、脱原子力に向けて歩み始める大きな契機となった。

 しかし、これらの事故が人々に対して与えた警告にもかかわらず、日本では強引な原子力開発が続けられている。そして、美浜原発での配管破断による死傷事故、浜岡原発をはじてとするタービン羽根の破損など、各地の原発がずさんな安全管理のもとで、大事故と隣り合わせの運転を続けてきた実態が、次々と明らかにされている。こうしたなかで本年3月には、金沢地裁が地震災害の危険を重視して、志賀原発2号機に対して運転差し止めを言い渡した。全国のすべての原子力事業者は、日本の原子力裁判史における画期的なこの判決を、真剣に受け止めるべき時にきたといえよう。

 ましてや、「プルサーマル」というような無謀で矛盾に満ちた計画は、一刻も早く撤回されねばならない。第一に、プルサーマルでは燃料棒破損や局所的な出力上昇等が起こりやすくなったり、中性子線の増加によって炉材の劣化が促進されたり、高速炉と類似の炉心特性となるなどによって、事故の危険が増加するといわれている。第二に、大事故が起きた場合には、α核種が多く内臓されているために被害の規模は大幅に拡大するし、通常運転時における放射能放出や従業員の被曝も増加する可能性が高い。第三に、プルサーマルじたいが、高速炉開発が当初の計画どおり進まないなかで、さしたる必要性が乏しいにもかかわらず、プルトニウム利用の辻褄合わせとして計画されたものにすぎない。しかも第四に、それが最終的に生み出すものは、各種の超ウラン元素が大量に含まれるために通常の使用済み燃料と比べてもはるかに扱いにくい、やっかいな放射能の塊なのである。

 報じられているところによると、貴社の東海第二原発においてもプルサーマル導入計画がある。しかしながら、プルサーマルには上に述べたような多くの問題があるのみならず、東海第二原発は1978年の運転開始以来30年近くを経過した老巧炉であり、シュラウドサポートのひび割れ、給水ポンプの弁棒破損、給水逆止弁のワッシャー脱落、隔離時冷却系の電動弁の動作不良など、近年における事故の頻発や、24年間にわたったガスを抜く安全装置の流量操作の不正には目に余るものがある。このように、ただでさえ老巧化している東海第二原発でプルサーマルを実施することは、事故の恐れを飛躍的に高め、県民はもとより首都圏住民・国民全体に多大な被害を与える危険がある。

 すでにいくつかの住民団体などから、貴原発に対してプルサーマル導入反対の申し入れがなされているが、私たちもまた明確な反対の意志表示をしておく。本日、私たち4団体はJCO事故の7周年を契機に、この東海村において原子力利用の是非を根本から問い直す集会を開催するが、危険性と矛盾に満ちた東海第二原発でのプルサーマル計画に対しては、多くの県民も国民も反対しているのが現状であるし、今後においても合意は到底得られないであろう。人々の意見に真摯に耳を傾けることによって、貴社はすみやかにプルサーマル計画の導入を断念すべきである。

以下、申し入れる。

2006年9月24日

原子力禁止日本国民会議(平和フォーラム)
101-0062東京都千代田区神田駿河台3-2-11総評会館

茨城平和擁護県民会議
310-0031 水戸市大工町3-4-24

原子力資料情報室
164-0003 東京都中野区東中野1-58-15寿ビル

反原子力茨城共同行動
310-0911 水戸市見和2-255-5-103


当日、東海村で開催された、原子力利用の是非を根本から問い直す「JCO事故7周年集会」と東海市内2.6kmほど歩いたデモには約300人が参加した。

JCO臨界事故7周年集会 集会後デモ出発 原研道路を行くデモ隊 東海駅前までデモ