核兵器
2003.8

■特別寄稿■
イラクと北朝鮮からの間違った教訓

アチン・バナイク 
「インド核軍縮平和運動(CNDP)」全国調整協議会メンバー

 インド・パキスタンの間の最近のやりとりは、両国が米国の圧力の下で、近い将来に高いレベルでの交渉を開始することを示唆していますが、これは、両国が相互の政治・軍事・核的緊張の解決に向けて動いているということではありません。両国は、1998年の核実験以来、真剣な核の脅威の削減措置を実施することはもちろん、その草案を作ったり交渉をしたりすることすらまったくしていません。
 問題はそれだけではありません。インド及び南アジア全域の核化に反対してきた進歩的な人々も含め、多くの人々が、米国による不当なイラク侵略を受けて、誤った「教訓」を導き出しているからです。米国が、核保有を宣言した北朝鮮には攻撃をかけないで、イラクによる大量破壊兵器の保有を口実にイラクを侵略したということは、イラクが実際に大量破壊兵器、とくに、核兵器を保有して米国あるいはイスラエルに対して使える状態にあれば、イラクは侵略されていなかっただろう。従って、インドやその他の弱い国々は、大国の覇権主義的野望に対して自衛するために、核兵器を保有することを検討すべきだ、というものです。
 私たちのいるこの地域における平和・反核運動を強化するには、北東アジア地域の状況の複雑性についての理解を深めることによって、この間違った教訓を批判しなければなりません。この点において、日本の反核・軍縮運動の友人は、インドで軍縮と平和を推進するCNDPの運動に対して、積極的な貢献ができる立場にあります。
 CNDPは確信しています。米国の支配は、その卓越した軍事的力に根ざすものではあるが、それは、米国の軍国主義や核化をまねようとする国々によってではなく、政治的にうち勝つべきものであると。印パの核兵器は、南アジアの諸国民にとって危険であるだけではなく、この地域に核兵器保有国が存在すること自体が、他の国々──たとえばイラン──に、核化に向けて動く圧力を絶えずかけます。そんなことが起きてしまえば、地域や世界全体の核の緊張状態と危険を大きく悪化させることになります。
 ですから、世界的核軍縮とともに、地域(南アジアや西アジアその他)における核軍縮を求める運動が強化されることが絶対的に必要なのです。だから、アジアの平和・軍縮運動は、この重要な闘いを進めるために、協力してさまざまな「資源」を出し合う責任を持っているのです。

 ─ 昨年も大会に参加されたバナイクさんから、被爆58周年原水禁世界大会へ送られたメッセージです。