2004.3.21
米国の核兵器解体状況と核開発の歴史的データ
米国の核問題専門誌『ブレティン・オブ・ジ・アトミック・サイエンティスツ』誌の2004年1/2月号掲載の「NRDCニュークリア・ノートブック」(原文)がテキサス州パンテックスにおける米国の核兵器解体の現状と、それに関連した核開発の歴史的データを紹介しています。(「ノートブック」は、「天然資源防護協議会(NRDC)」が毎号、各核保有国の最新データを順番にまとめて紹介するコーナーです。)以下いくつかのデータを拾って要約しておきます。
パンテックス・プラント
核兵器の組み立て・解体を行う工場。
場所:
テキサス州アマリロから北東に17マイル(約27キロメートル)
歴史:
- 1951年
- 第2組み立て工場のサイトとして選ばれる。
(第1は、アイオワ州バーミンガム) -
1952年
- 操業開始
-
1975年
- バーミンガム工場の閉鎖とともに唯一の組み立て工場に
米国の核兵器製造の歴史的データ
1945−1990年
製造総数 7万発
核弾頭の種類 70種
兵器システムの数 120以上
年間製造数のピーク
- 1950年代
- 増加の一途
-
1959年
- 7088
-
1960年
- 7178 (労働日当たり28個)
ストックのピーク
1967年 3万2000発
30種
- *1キロトン以下の「核破壊用爆弾」からメガトン以上の戦略核まで
(広島は、TNT火薬換算で16キロトン)
総メガトン数のピーク
1960年 2万500メガトン=TNTにして約200億トン=広島の140万倍
解体状況
解体した核弾頭の総数
6万発
冷戦終了時ストック
約2万1500発
1990年代の解体・処分数 1万1000発以上
現存ストック 1万400発
解体予定
残り数百発
1個の解体に必要な時間
1−2週間
解体の段階
- 1)化学爆薬と核関連部分の分離 Gravel Gerties(13ある)で実施。
─ 参考:施設(グラベル・ガーティーズ)の写真など
─ アラン・サセックスさんのレポート─上から8番目の写真、その下の解説図など
*パンテックス内のゾーン12に位置する。グラベル・ガーティーズという名前は、化学爆薬の爆発に備えて8メートル近い砂利(グラベル)で屋根を補強している建物の外見が、1950年代の漫画、「ディック・トレーシー」に登場する女性「グラベル・ガーティー」のグレーの縮れ毛に似ていることから来ているという。─コミックス・ページ「グラベル・ガーティー」は5番目の絵
- 2)さらなる解体 (水爆)
- 核以外の部品──それぞれ、製造工場に送り返される
- 核関連部分
- 原爆部分(プライマリー=第一段階) 中心にピットがある
ピットはパンテックスで保管
- 水爆部分(セカンダリー=第2段階)
ウラン及び重水素化リチウムを含む
オークリッジのY−12プラントに送られる
ピット
「ピットは、中空で球状のあるいは非球状の殻状プルトニウムからなり、ステンレス・スチールまたは、他の金属あるいは合金で被われている。これが他の構成要素と合わさって、核分裂爆弾(原爆)となる。水爆では、核分裂爆弾は、第1(プライマリー)段階として機能し、核融合(セカンダリー=第2)段階の引き金となる。ピットは、取り出された後、容器に入れられて、パンテックスのイグルーで貯蔵される。一部のピットは、研究・分析のため、ロスアラモスかリバモアの研究所に送られる。」
*1979年にコロラド州ロッキーフラッツのピット製造工場が閉鎖されて以来、新しいピットの製造は行われていない。現在、ニューメキシコ州のロスアラモスでピット製造開始の試みがなされている。
─参考: ピットの解説図など(ドン・モニアックさんのレポート)、「ピット製造工場建設計画」、「米国エネルギー省05年度予算案と新型核計画」
貯蔵数
1万2000個
- *貯蔵状態改善のため1999年からAL-R8 2030型容器にピットを移し替える作業を開始。2003年10月10日、8000個目の移し替え完了。2005年全量完了予定。
- 処分予定 7000個
クリントン政権は、1995年、38.2トンの兵器級プルトニウムを余剰兵器級プルトニウムと宣言し、処分することを発表。後に、プルトニウム廃棄物・スクラップなどを考慮して、この数字を34トンに改める。ほとんどが、この7000個のピット。米国は、このほとんどをMOXにして利用する予定。処分スケジュールは未定。ロシアも同量のプルトニウムを処分することで合意
- 戦略的予備 5000個
米国はいざというときに備えて、これを保存する計画。(参考─リークされた『核態勢の見直し』─より)
貯蔵場所
パンテックス内のゾーン4にある60イグルー(貯蔵施設)
詰め方によって各イグルーに240個または400個貯蔵可能。
理論的には、60のイグルーに1万4400個または2万4000個貯蔵可能
パンテックス作業量 1990−99年
| 年 |
解体個数* |
| 1990 |
1,151 |
| 1991 |
1,595 |
| 1992** |
1,856 |
| 1993 |
1,556 |
| 1994 |
1,369 |
| 1995 |
1,393 |
| 1996 |
1,064 |
| 1997 |
498 |
| 1998 |
1,062 |
| 1999 |
207 |
| 合計 |
11,751 |
2000年以後の数字は公表されていない。
- *意図的に解体・処分した弾頭、評価目的で解体・処分されたものを含む。
評価目的で解体された後、組み立て直して、ストックに返されたものは含まない。
- **オークリッジのY−12プラントで解体された553個を含む。