米国上院軍事委員会は5月8日、5キロトン(広島に投下された原爆の約3分の1)以下の新型核の研究・開発を禁止する条項を廃棄するとの内容を含んだ国防歳出権限法案を可決しました。下院の軍事委員会の審議は今週行われます。両院の委員会で同じ内容のものが可決され、両院の本会議で同様の結果に至るかどうかは、まだ分かりませんが、憂慮すべき事態であることは間違いありません。ただし、このような研究をする任務を負っているエネルギー省の今年の予算案では、このような研究を本格的に行うための予算は要求されていませんから、すぐに研究が始まるということではありません。議会内外での闘いはこれからも続きます。(米国が現在開発を検討している地中貫通型核爆弾は、100キロトン〜1000キロトンのレベルのものです。)
詳しいことはまたお知らせしますが、ここでは、1993年に制定された低威力核兵器研究・開発禁止条項そのものと、今年3月に国防省がこの条項の廃棄を議会に求めた文章を訳出して紹介しておきます。
[1993年制定:94会計年度は、93年10月から始まる]
[2003年3月4日議会に提出。「精密低威力核兵器設計(PLYWD)」禁止条項の廃棄を要請する条項]
セクション3136──いわゆるPLYWD条項──は、大量破壊兵器に対応する国家戦略を支援する米国政府の努力に悪影響を与え、新しい、あるいは登場しつつある脅威を抑止したり、それに対応したりする上での我々の能力を強化する努力の妨げになっている。
核兵器の最新概念に向けた努力の再活性化は、以下のことを行うために不可欠である。
PLYWD条項は、この努力に「背筋の寒くなるような影響」を与えてきた。我々の科学者やエンジニアが、あらゆる範囲の技術的オプションを探求する能力を阻止してきたのである。この条項は、単に、新しい、低威力の弾頭の研究を禁止しているだけはなく、このような弾頭の「米国による生産に至る可能性のある」あらゆる活動を禁止している。
新しい、あるいは登場しつつある脅威を抑止したり、それに対応したりする上での我々の能力を強化しうる技術的オプションの探求を妨げないのが賢明な国家安全保障政策である。これに関連して、議会が実施を命じた「核体勢見直し(NPR)」報告書は、精密性、地中貫通([敵の]地中深く埋設された堅固な施設を危険にさらすもの)、化学・生物兵器剤の破壊、付随的被害の低減などの能力の強化を提供する兵器概念の探求を奨励している。PLYWD条項は、この努力を妨げている。
いわゆるPLYWD条項の廃棄は、新しい低威力核弾頭の開発、製造、配備に米国が進むことを確実にすることとはほど遠い。このような核弾頭概念を、生産や配備はもちろんのこと、本格的開発段階に進めることも、議会がそのために必要な相当の資金の歳出権限を与え、実際に予算をつけない限り、あり得ない。