核兵器
2009.7. 8

米国による先制不使用宣言を要請・支持するよう日本政府に要請

先制不使用で外務省に要請

flickrサイト先制不使用で外務省に要請

原水禁は、7月7日、外務省を訪れ、核兵器廃絶のための最低限かつ即座の措置として、米国が「先制不使用宣言」をすることを要請・支持するよう日本政府に求める要請書を提出しました。

通常兵器及び核兵器の両面で圧倒的な力を持つ米国が、核兵器の役割を他国の核攻撃を抑止することだけに限定し、決して核兵器を先に使う国にはならないと宣言して、大幅核削減に向けて進むよう求めるものです。外務省の佐野利男不拡散科学部長は、米国がそのような宣言をすると、北朝鮮が韓国に侵攻し、朝鮮動乱のようなことが起こる可能性が高まるなどとして、先制不使用宣言に反対する立場を明らかにしました。

どのようなシナリオで、米国が先に核兵器を使い、何を破壊し、何人を殺傷することを日本は望んでいるのか、あるいは、そのような脅しによってしか抑止できない攻撃のシナリオとはどのようなものかと言う問いには明確な答えがありませんでした。せっかく核兵器があるのだから、使わないなどと宣言してしまうのは、もったいないと言う立場のようです。

日豪両政府の提唱で設置された核不拡散・核軍縮に関する国際委員会(ICNND)のギャレス・エバンズ共同議長(元オーストラリア外相)は、「核兵器廃絶を唱える一方で核兵器が大好きだと言っていたのでは、世界からまともに相手にされない」と日本に忠告しています。 また、ワシントンで開かれた同委員会の第2回会合後の記者会見(2009年2月15日)で、川口順子共同議長は、「ノーファーストユース(先制不使用)を言ってくれないか」と米政府要人らに訴えたと発言しています。与党の他の政治家らはこの問題をどう考えているのか問いただしていく必要があるでしょう。

今回の申し入れには、「米軍の保有する核を他国の日本に対する核攻撃に先立って使用することはないこと(核の先制不使用)を日米間で合意すべき」との方針を掲げる民主党の平岡秀夫・近藤昭一両議員が同席されました。

中国新聞記事

pdfへ(640kb)先制不使用 核の役割 宣言で限定 中国新聞記事



参考

早わかり

要請書

2009年7月7日

内閣総理大臣
麻生太郎様

外務大臣
中曽根弘文様

原水爆禁止日本国民会議
議長 川野浩一

米国による核兵器の先制不使用宣言に反対する日本の政策について
(要請書)

米国のキッシンジャー及びシュルツ両元国務長官ら米国政界重鎮4人の提言にある「核兵器のない世界」の達成を目標に掲げる米国のオバマ政権の登場を背景に、世界的にも核兵器廃絶の機運が高まっています。そのような中、オバマ政権が今年中に終える「核態勢の見直し」でどのような政策が発表されるかに注目が集まっています。私たちは、この「核態勢の見直し」が核廃絶の道を示し、来年の核不拡散条約(NPT)再検討会議の成功につながるものになることを期待しています。その意味で日本がその過程で積極的な役割を果たすよう望んでいます。

オバマ大統領は、4月5日、チェコ共和国プラハでの演説で、「米国が核兵器のない世界の平和と安全を追求する決意であることを、信念を持って明言する」と述べ、「米国は、核兵器のない世界に向けて、具体的な措置を取ります。冷戦時代の考え方に終止符を打つために、米国は国家安全保障戦略における核兵器の役割を縮小し、他国にも同様の措置を取ることを求めます」と約束しました。

日豪両政府の提唱で設置された核不拡散・核軍縮に関する国際委員会(ICNND)の報告書案では、この約束に沿った短期的な措置の一つとして、核兵器の役割を、他国による核使用の抑止に限定し、先には核兵器を使わないとの「先制不使用政策」を米国が発表することを勧告していると報じられています。ICNNDは、10月に広島で予定されている最終会合を経て、この「先制不使用宣言」の勧告を含む報告書を年内に発表する予定とのことです。

ところが、新聞報道にもある通り、ギャレス・エバンズ同委員会共同議長(元オーストラリア外相)は、5月末に来日した際、委員会の大半は、米国が核を先には使わないとの政策を宣言し、その政策に合わせて核態勢を構築しなおすべきだと考えているが、日本に対する核兵器以外の攻撃にも核で報復することを米国に望む日本の政策が、勧告の採択にとって障害になっていると述べています。

日本は毎年、国連で核兵器の全面的廃絶を訴える決議案を提出していますが、その一方で、先に核兵器を使うオプションを米国に持っていて欲しいと望むのはなぜでしょうか。どのようなシナリオで、米国が先に核兵器を使い、何を破壊し、何人を殺傷することを日本は望んでいるのでしょうか。あるいは、そのような脅しによってしか抑止できない攻撃のシナリオとはどのようなものでしょうか。核兵器以外の兵器による攻撃に対して核兵器で報復するオプションがなければ日本の安全保障が保てないという考え方に立つとするなら、日本が求める核兵器の全面的廃絶が可能になるのはいつのことでしょうか。このような考え方に立てば、他の核保有国の核兵器がすべてなくなっても同盟国の米国にだけは核兵器を持っていて欲しいということなるのではありませんか。日本が提唱する核兵器の全面的廃絶の前提条件とは、まず世界中から核兵器以外のあらゆる兵器が姿を消すことでしょうか。「核兵器廃絶を唱える一方で核兵器が大好きだと言っていたのでは、世界からまともに相手にされない」とエバンズ共同議長は日本に忠告しています。

「冷戦時代の考え方に終止符を打つ」と宣言し、年内の完了を目指して「核態勢の見直し」を現在行っているオバマ政権が、日本政府の反対のために、核の役割を他国による核使用の抑止に限定する政策をとれないということになれば、日本政府が世界からまともに相手にされなくなるだけでなく、日本の私たちの核兵器廃絶要求の声も北東アジア非核兵器地帯の提案も空疎なものと見られかねません。

被爆国の政府として、下記の行動をとるよう要請します。

  1. 核兵器廃絶のための最低限かつ即座の措置として米国が「先制不使用宣言」をすることを要請・支持すること。
  2. 核兵器のない世界の実現に向け、各国政府に対し、包括的核実験禁止条約(CTBT)の発効促進、カットオフ条約の締結、核兵器の大幅削減、核拡散防止などのために一層努力するよう働きかけること。

以上