核兵器北朝鮮
2003.10.28

北朝鮮の核弾頭製造能力?

日本では、北朝鮮がたとえ1−2発分のプルトニウムを分離して持っていても核弾頭を作る能力がないとする見方が強いようですが、米国ではどうでしょうか。北朝鮮の核問題に詳しい「科学・国際安全保障研究所(ISIS)」のデイビッド・オルブライトは、北朝鮮には能力があるといいます。
オルブライトは、ISISのホームページにある『北朝鮮の現在及び将来のプルトニウム及び核兵器ストック』(2003年1月15日─原文)の中で次のように述べています。

「北朝鮮は、deliverableな[敵のところに届けられる]核兵器を作れるか?

1990年代初頭、多くのアナリストは、分離されたプルトニウムを使ってdeliverableな核兵器を作るという北朝鮮の能力には懐疑的だった。北朝鮮は1994年以降核兵器製造のための作業を続けていたと信じられていることからして、いま北がdeliverableな核兵器を作る能力を持っていることを疑うものはほとんどいない。ISISは、日本に到達できる弾道ミサイルに核弾頭を配備する能力を北朝鮮が持っていると評価している。」

「憂慮する科学者同盟(UCS)」のミサイル問題の専門家デイビッド・ライトは、原水禁へのメールで次のように述べています。

「[1990年代初めに1−2個分のプルトニウムを入手していたとすると]現在までの間に、北朝鮮が、ノドンに搭載できる核兵器を開発していたとしても驚くことはないと思う。ただし、北が開発していなかったと判明しても、やはり驚かない。」

「[大気圏内に再突入するときの熱から弾頭を守る]再突入体の熱シールドを作るのも難しくない。熱は、大陸間弾道弾(ICBM)の場合よりずっと低い。おそらくは、北朝鮮は、ICBMの熱シールドも作れるだろう。」

ただし、1−2個しかない核兵器を信頼性のないミサイルに載せて、攻撃に使うかどうかはまた別の問題だと、ライトは指摘しています。。

この点では、1990年代初めに米政府内で対北朝鮮の政策作成に深く関わったメリーランド大学のスティーブ・フェターも同意見です。しかし、1994年に取り出した使用済み燃料を再処理して、5−6個分のプルトニウムを北朝鮮が手に入れれば、事情が変わってくると、フェターは見ます。

フェターは、重さ500−1000キログラムのdeliverableな[使用可能な]核兵器を作ることは難しくないと言います。ただ、ミサイルで運ぶものとなると、寸法も弾頭部分にフィットするようにしなければらないので、より難しくなると説明します。また、北朝鮮は、1989年に電気出力5メガの原子炉の燃料を全部取り出し、最大約10キロあまりのプルトニウムを分離していたと見られていますが、それについてフェターは懐疑的です。燃料を全部取り出していたとするなら、CIAなどがそれを確認する情報を得られているはずであり、そういうリークがないのは、その事実がないという証拠ではないかと分析します。

米国が、長崎に投下したプルトニウム型核爆弾ファットマンが5トン近くあったということが、ミサイル用核弾頭を作るが難しいとの説明に使われますが、ライトは、ファットマンを作ったときには、確実に機能するようにと、必要以上の高性能爆薬を使ったため非常に重くなり、その分、それを取り囲む容器も強固で重いものとなったのだといいます。核兵器についての情報が多くなり、高性能爆薬の質も向上したいま、当時の米国と現在の北朝鮮を単純に比較することはできないというわけです。

この点について、中国の核問題の専門家Li Binは、米国に続く国々が最初の核兵器を開発した際、どのような設計になっていたかについて面白い分析をしています。(原文 pdf)
ただし、彼は、米朝の交渉のありよう、北朝鮮がウラン濃縮に手を出したことなどからして、北朝鮮はまだ核兵器を開発していないと見ています。