緊迫する印・パ
2002.2

核の影に覆われたパキスタンとインド

パキスタンのドキュメンタリー 日本語版

核の影に覆われたパキスタンとインド

イクバール・アフマド財団 制作 ドキュメンタリー(2001年7月)
パルヴェーズ・フードバーイー 監督
ジヤー・ミヤーン 脚本
原水爆禁止日本国民会議 日本語版制作(2002年2月)

 パキスタンとインドの人々を対象にして、両政府とは全く独立の立場から作られたこの画期的なドキュメンタリー(35分)は、印パ両国が1998年5月に行った核実験によって南アジアに発生した重大な核の危機について批判的に分析している。2001年にパキスタンで、英語版とウルドゥー語版の二つのかたちで制作されたこのビデオは、南アジアでこれまでに例を見ないものとなっている。ビデオは、パキスタンとインドのさまざまなインタビューや、画像、過去の映像などを使って、核兵器に関する抽象的な議論の正体を暴きだし、両国がさらされている核の危機の緊急性を明確なかたちで描いている。

ビデオは、公開されると同時にパキスタンとインドの両国で歓迎された。南アジアでは、大多数の人々が、核兵器の恐ろしい破壊力や、原爆が広島や長崎にもたらした大変な苦しみについて全く知らない。このビデオは、南アジアにおいてまさしく必要とされていたものであり、この地域で核軍縮と平和が緊急に求められていることを明確に示している。
 ビデオの中では、インドとパキスタンの軍部指導者達が、南アジアにおける核実験の影響と戦争の可能性について語っている。イスラムの宗教団体や戦闘的グループの代表たちが、核兵器にどんな希望を見いだしているか、なぜ核兵器がイスラムを強化すると考えるかを説明する。指導的な平和活動家は、核を持った南アジアが不安定、軍拡競争、貧困の深刻化、意図的及び偶発的両面での核戦争の脅威の増大への道を急激に進んでいると主張する。
 インドとパキスタンにおけるこのような啓蒙活動の必要性は、2001年9月11日の米国に対する攻撃の結果、いままでにもまして緊急のものとなっている。互いに対する敵対関係を反映するかたちで、インドとパキスタンは、それぞれ、自国に都合のいいように9月11日後の状況を利用しようと試みた。インドは、直ちに、タリバンとの紛争において米国を政治的・軍事的に支持すると表明した。同時に、パキスタンの支持を受けてカシミールで戦闘行為を行っているイスラムの闘士を、米国による対テロ攻撃の対象に加えるよう呼びかけた。インドはまた、米国の例にならって、パキスタンにある戦闘訓練キャンプ・基地を攻撃すると脅した。パキスタンは、米国の膨大な圧力の下で、また、インドから自らを守ろうという思惑もあって、米国の側につくことにした。2001年12月13日のインドの国会議事堂に対する襲撃、そして、それに続く印パ両国の軍事力の動員は、両国間の戦争の危険性をさらに高めている。
 また、米国は、アフガニスタン周辺での政治的支持と軍事基地の提供を得ようとして、インドとパキスタンに対する制裁措置を中止し、経済的・軍事的援助を申し出ている。この結果、インドとパキスタンは、通常兵器と核兵器の両面での軍拡競争を、精力的に再開することになるかもしれない。両国とも、その核弾頭の開発の速度を上げるかもしれない。新たな、以前より危険な、印パ紛争の舞台が整いつつある。

 南アジアでは、核軍縮の必要性をできるだけ多くの人々が理解することが、今までにもまして重要となっている。ウルドゥー語と英語の両方で作られたこのビデオを、印パ両国の各地の平和団体や、環境保護団体、人権擁護団体、議員、ジャーナリスト、その他、様々なグループに配布できれば、核軍備撤廃キャンペーンにおいて大いに役立つだろう。ビデオは、また、世界の他の地域の人々が、核武装された南アジアの暗くて危険な将来、そして、核軍備撤廃のための強力な世界的行動の必要性を理解する助けとなるだろう。


 「2001年7月につくられたビデオだが、残念ながら、現在も、その今日性を失っていない。今も、約100万の印パの軍隊が、国境線で対峙しあっており、日常的に撃ち合っていて、戦争がいつでもできる態勢にある。」

─ パルヴェーズ・フードバーイー 2002年2月23日
(ピースデポ総会記念イベント講演)

参考: フードバーイーがテロ事件の直後に発表した文章 の翻訳 「暗黒の火曜日」(2001年 9月27日の朝日新聞に掲載された「理性で根源に立ち向かえ」の完全版)や、「ムスリムと西欧」が読めます。

<インドパキスタン関係年表>

1947年 8月 印パ分離独立
 10月 第一次印パ戦争(〜49年1月)
1962年10月 印中国境紛争
1965年 9月 第二次印パ戦争
1971年12月 第三次印パ戦争(バングラデシュ独立)
1974年 5月 インド核実験
1998年 5月 印パ核実験
1999年 5月 カルギル紛争(〜7月)
2001年12月 インド国会議事堂襲撃事件

<カシミール地方地図>


 この日本語版は、日本における印パの核問題についての理解を高め、また売上金を印パ両国でこのビデオの配布に役立ててもらおうと考えて制作したものです。購入、カンパをよろしくお願いします。
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