軍縮・不拡散アップデートを再開します。有能な前任者の退任などにより、ブランクが空きましたが、今後、随時更新・1-2ヶ月毎に新号発行の予定です。
ジュネーブで開催された第2回準備会合は5月9日、議長要約文書 Chairman's Factual Summary について合意達成ならず、技術的文書のみを採択して閉会した。議長の要約は、日本の天野ウィーン代表部大使が議長をつとめた昨年の第1回準備会合の時と同じく、作業文書としてあつかわれる。
議長の Yelchenkoウクライナ大使のまとめた63のパラグラフからなる文書は、充分包括的に論点を網羅しており、条約の普遍性、インド、イスラエルおよびパキスタンへ非核保有国としてNPTに参加し、CTBTに加盟する要求、消極的安全保障、核の輸出管理、非核地帯(特に中東)などに加え、北朝鮮が「完全かつ正確な核計画の申告」を履行していないことに懸念を表明し、速やかな履行を促し、イランに対してウラン濃縮関連活動の停止を求めた国連安保理決議に速やかに従うよう要求。
また「核兵器のない世界への公的・政治的な勢い」に言及し、「このゴールを達成する確実で実際的手段の必要」と、多国間交渉による合意のみが「軍縮、不拡散および国際的安全保障問題の多様性に対処する唯一の持続可能な方法」と強調している。
このNPT準備会合には、世界のNGOもしっかり関与しており、その活動によって各作業文書、レポート、NGO文書などは、下記のウェブサイトで見ることが出来る。特に今年すばらしい働きをしているのは、原水禁で例年取り組むようになった、木のブロックで、国際法を守る壁を2005年NPT会議の時ニューヨークに作ったドイツの若者中心のグループ、国際法キャンペーンのプロデュースによるNPT webcast。ここのサイトでは、核燃料サイクル、イランの核開発、米印原子力協力、CTBTといった問題について、政府代表や専門家にインタビューしたビデオ(英語)を多数見ることが出来る。
外務省:核兵器不拡散条約(NPT)─前回の準備会合の概要と評価なども参考に。
ニューヨークの国連で4月25日まで行われた軍縮委員会(UNDC)では、2008年のセッションの最後の全体会がキャンセルされた。核軍縮と不拡散、通常兵器に関する実用的な信頼醸成措置、の2つのワーキンググループのいずれの勧告も採択できなかった。UNDCは、この8年間本質的にこの議題ですすめられててきていて、2000年から2003までは、核軍縮を達成する手段、通常兵器中の実際的な信頼醸成措置の2つが議題案、2004年と2005年には、議題の合意に至らず、実質的な議論ができていない。
今回は政府代表や、ジュネーブには多い軍縮専門家の参加が少なかったことが、議論が低調に終わったことの一因と見られている。
福岡県の直方(のおがた)議会3月定例会で「アジアの核軍拡競争を防ぐため、原子力供給国グループでの慎重な対応を求める意見書」─[送付先]衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、外務大臣─が可決されました。
4月15日付け直方議会だより (pdf)の3ページめ
5月19日から始まる原子力供給国グループ(NSG)の総会で日本がどんな立場をとるかをただすことを主眼に、5月15日、参議院外交防衛委員会で犬塚直史議員の高村外務大臣への質問がおこなわれた。昨年6月14日の参議院外交防衛委員会(ページ全体の1/4あたりのところ)で犬塚議員の「注意深く検討するという今の日本の立場は、懸念を表明しているということとは違いますね。」という質問に麻生外務大臣は「懸念を表明しているという意味ははっきりしております。」と返答した。ところが今回、高村外務大臣は、この「麻生外務大臣の発言を始めて聞きました。」と消極的な発言、さらに、「国際的な核軍縮核不拡散体制の維持強化に支障のないように積極的に議論に参加していく。」と言った紋切り型の返答に終始した。
昨年同様、米印原子力協定に関するセミナーが、NPT準備会合の場で開催され、インド、パキスタンはもちろん南アフリカやエジプトなど各国政府代表の外交官含め多くの参加者を集めた。NSG(原子力供給国グループ)諸国やIAEA理事国など最終的には60カ国の外務大臣宛に送られ、国連で軍縮問題担当の事務次長だったジャヤンタ・ダナパラさん(NPT再検討会議の議長も務め、現在はパグウオッシュ会議の議長)や、広島、長崎の両市長など、世界中から、核廃絶・核不拡散の著名な専門家を含む130以上の個人と団体が賛同署名した国際書簡に焦点が当てられた。
「在日米海軍横須賀基地への原子力空母配備の是非を問う住民投票条例」について、横須賀市民から52,438筆の直接請求署名が提出され、5月16日の市議会で審議される予定。さらに14日にはその制定を要請する全国からの署名123,887筆を、蒲谷亮一横須賀市長に手渡し、条例案成立を強く申し入れ。蒲谷市長は、「重く受けとめるが、国防に関する問題のため市民の手で決着をつけるのは難しい」と述べ、条例制定に否定的な姿勢を見せた。
(参考:「原子力空母の母港化の是非を問う住民投票」を求めて2200人が集会とデモ)
5月4〜6日、幕張メッセで開催された「9条世界会議」にのべ2万人を超える参加者。初日の全体会には約3,000人が満員のため入場できないなど会場は熱気に包まれた。憲法9条自体がヒロシマ・ナガサキの体験に根ざしたものという共通理解があり、 核不拡散条約(NPT)再検討会議準備委員会に対する9条世界会議の声明・日本語(pdf)が送られ、また「核時代と9条」と題して、下記の速報的に事務局がまとめた文書のように、シンポジウムが開催された。
ヒロシマ・ナガサキから63年がたった今日、世界は27,000発の核兵器を抱えている。このシンポジウムでは、日本国内外の核軍縮の先駆者たちと被爆者がパネリストとして登壇し、 核問題と9条のつながりを再確認した。
各パネリストからの発表では、今世紀は「核時代」ではなく「脱・核時代」となるべきであるという浅井さんの発言に始まり、核兵器だけでなく、原子力や再処理から脱却すること、そして持続的なエネルギーへのシフトを考えていくことが核への依存から脱却していく鍵となるといったことが話し合われた。また、ビービー弾や短編映画など、視覚や聴覚を使って核の脅威を実感した後、被爆者である吉田さんから出た「9条というのは報復をしないという意志の現れ」という言葉は多くの聴衆の共感を呼ぶものであった。9条というものそれ自体がヒロシマ・ナガサキに根ざしたものである。従って9条と核廃絶は切っても切れない関係にある。戦争で核爆弾を投下された唯一の国であり、そして9条を持つ日本は核廃絶の先駆者になっていくことが大切であるということが確認され、核不拡散を叫ぶだけでなく、9 条を世界に広めていくことがすでに核を保有している国の核廃絶につながると強調された。
9条世界会議 第一次レポート(pdf)より
参考
衆院では5月9日にわずか2時間の審議のみで委員会採決され、13日に自民、公明、民主3党の賛成本会議で可決、参議院に送られた宇宙基本法案は、自衛隊の衛星保有、ミサイル防衛(MD)のための早期警戒衛星、高解像度の偵察衛星を可能とするものだ。「平和の目的」に限るという1969年の国会決議の、宇宙政策の根本を転換してしまう。
巨額の開発、配備コストをかけ、軍事予算をふやすのみならず、軍拡競争が世界で加速している今、MD対抗の核軍拡を後押しするような政策が広い議論もなしに安易に決められようとしている。
参考:FCNL核問題カレンダー